- 家づくりコラム
- 建築あるある秘帖
建築あるある秘帖9【イメージ&ダメージ】
イメージ通りの作品に仕上げる。よく聞く言葉だ。
だが、イメージというモノはその人個人の頭の中にある映像もしくは感覚的なモノであってそれをそのまま相手に伝えるということは限りなく難しい。
例えば”リンゴ”をイメージして下さい、と言ったとする。ある人は赤い皮を付けたまん丸の果物をイメージする。ある人は皮を剥いた切り身のリンゴをイメージする。さらに人によってはアップル社のロゴマークをイメージしたりしてしまう。
このように一つの単語から想起されるイメージは様々だ。またいくら言葉を重ねようともその人本人が脳内で作り出すイメージを他人が忠実に再現しようとしてもピッタリと重ね合わすことは至難の技である。
建築の場合でもこの”イメージ”と言うものが物議を醸し出す厄介なモノなのである。
例えばクロス(壁紙)。お部屋の雰囲気を決める大事なアイテムだ。弊社では自然素材である和紙クロスが主流だが、リフォームなどでビニールクロスをお選びになるケースもある。その際、クロスサンプル帖より気に入った品番を選んでもらう。
これが意外と大変である。サンプル数が多いのだ。同じような柄、同じような色目でも微妙な違いで多岐にのぼる。その中からイメージ通りの壁紙を選んで頂く。約15センチ角ほどのサンプル帖で部屋全体を貼り上げた状態をイメージしてもらう。葉っぱを見て森の木をイメージするようなものだ(笑)。
想像力豊かでイメージ能力に優れた方ならだいたいイメージ通りの仕上がりになる。そうでない方の場合、「あれ、こんな感じだったかな?」ということもあり得る。品番は同じでも局所的に見た場合と全体的に眺めた場合の印象に若干のズレが生じる訳だ。
塗装工事でも同様のことが起こりえる。特に色というものは視覚的にハッキリしているようで相対的に見た場合、これまた印象が変わってくる。
同じ色でも陽光(ひ)の当たり方だったり、照明の当たり方だったり、周りとの色のバランスだったりとかで思い描いていた色と違って見えたりすることもある。
我々工務店はお客様のイメージを守りつつ、イメージ以上の建物を作らなければならない訳だ。そのためのイメージ共有作業、それが打ち合わせである。
イメージの違いがダメージにならぬよう、しっかり打ち合わせして頂きたいものである!