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日々の業務スペシャルヴァージョン【君は『いろはにほへと…』を最後まで言えるか!?】(特別編)
- 2012・01.03 Tuesday
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます<m(_ _)m>!
通常ブログはお正月休みと言うことで今回は新春特別企画。《日々の業務スペシャルヴァージョン》の復活です!
復活? そんな企画ありましたっけ? はい、あったんです!
まぁ~本人も忘れていましたが・・・(笑)!
気になる方は過去のブログ(日々の業務)を検索してみてください!
と言うこととで今回のテーマは【業界用語】です!
我々の身を置く建築業界では普段の生活ではあまり使用しない用語や単語を使用するケースが多々あります!
例えば「矩(かね)を巻く」。これはどういうことかと言うと、《さしがね》と呼ばれるL型の定規で材料に対しての直角墨を出すことをこのように言ってます!
さらに、「窓マグサの陸(ろく)を確認して・・・」とか。
この《窓マグサ》とは窓台下地のことで、《陸(ろく)》とは水平を意味してます。
他には「インニッサンで天井の野縁(のぶち)を組んで・・・」なんて言葉。野縁とは天井材を貼るための下地組みのことです。スタッフブログにはよく出て来ますね(^_-)!
【インニッサン】とは材料の名称で、30×40サイズのおもに下地材として使われることの多い材木です。
ではなぜこの30ミリ×40ミリの材料のことを【インニッサン】と言うのか!?
実はこれ尺貫法表記の名残によるものです。
本来この手の下地材は1寸2分(いっすんにぶ※約36ミリ)×1寸3分(いっすんさんぶ※約40ミリ)の大きさの材料でした。
1寸2分で【インニッ】1寸3分で【サン】。で【インニッサン】です!
ちなみに1寸が約30ミリ、一分が約3ミリです!
現在のメートル法に換算し、切りのいい数字に置き換えたのが【インニッサン】すなわち30×40と言うわけです。
木造建築では現在(いま)に至るもこの「尺貫法」がまかり通っております・・・(^^;)。
1尺が303ミリ。1寸や1分は前述した通りです。さらに《厘》と言うのがあり1厘で0.3ミリになります。その下には《毛(もう)》なんていうのもありますが(0,03ミリ)、殆ど見えません(笑)。
さらに1間(いっけん)と呼ばれると6尺、つまり約1800ミリ。よく1間間口などと言われたりしますよね。
尺寸法でよく我々が使用する言葉で《3×6(さぶろく)》と言う言葉があります。
これは石膏ボードや合板の規格寸法が910ミリ×1820ミリ(3尺×6尺)で作られているためです!
他にも「この内法材(障子などの鴨居、敷居)ヨンブシチで溝ついて・・・」など。
この「ヨンブシチ」とは7分(しちぶ※21ミリ)の溝が2本、4分(よんぶ※12ミリ)の隙間をあけてついてある状態のことを表します。
これはどういうことかと言えば、障子の場合厚みはたいてい30ミリです。21ミリの溝面に障子を納め、障子同士が3ミリの隙間があくような状態を作るわけです。
ちょっと説明が分かりづらいですがそういうことです(^^;)・・・家に障子のある方は見てみて下さい!(笑)。
尺だとか寸だとか言う言葉を一般の方はあまり使いませんよね。
例えば『一寸の虫にも五分の魂』なんて諺もあるにはありますが、これって3センチの虫にも15ミリの魂ってことですかね(笑)。
で、3センチの虫ってまさかゴキ・・・ウギャ~ヽ(≧▽≦)/。
さて、木造在来工法というのは歴史がなにしろ古いです!
千年という時を経て未だに受け継がれている技法があります。
木材同士を接続させる『継ぎ手』及び『仕口』なる技法がそれです。
現在のプレカットという機械加工においてもこの技法は取り入れられています!
『腰掛け蟻継(ありつぎ)』、『腰掛け鎌継(かまつぎ)』などがその代表的な例です。
その他に特殊継ぎ手として『追掛け大栓継(おっかけだいせんつぎ)』、『金輪継(かなわつぎ)』、『台持ち継』、『車知(しゃち)継』などなど。
このへんになってくると技法というより殆ど秘法に近いです(笑)(^^;)。
この『継ぎ手』たち、知識としては分かっていてもなかなか実践で活用する機会がないのも事実です。とにかくやたらと手間と精度が要求される技なので・・・。
もちろん『蟻継』、『鎌継』以外は複雑過ぎて工場加工が出来ません!
やるとなればひたすら手加工です・・・(^^;)。
変わったところでは、一度入ったら絶対に抜けない『地獄ホゾ』と呼ばれる世にも怖ろしいネーミングの仕口などもあります(笑)!
『継ぎ手』、『仕口』などの名称は構造体を加工する際に頻出する用語ですが、それらを加工するための設計図面も木造建築の場合、ちょっと特殊な用語が出て来ます。
その最たるモノがタイトルにもなっている『いろはにほへと・・・』です!
『いろはにほへと・・・』と言えば今の季節柄カルタを思い浮かべますが、最近はあまり聞きませんよね。「犬も歩けば・・・」というやつです!
で、木造建築の場合、図面がカルタになっているわけではなく(そりゃそうだ)、《番付》と呼ばれる座標軸に『いろはにほへと・・・』が用いられています。
もちろん図面上に〔横綱〕とか〔大関〕などと記されているわけではありませんよ(笑)!
大抵の場合X軸方向(縦方向)には数字の「一、二、三・・・」が、Y軸方向(横方向)には「いろはにほへと・・・」が3尺(910㎜)ピッチで記されています。
と言う訳で図面上のグリッドの一番右上のポイントが「いの一番」となります!
その下(3尺下がって)が「いの二番」となり「いの一番」に対して(3尺)左隣が「ろの一番」となります。
そして「い」の縦列を「い通り」と呼びます。
この《番付》に基づいて我々大工は細かく刻まれた材料を一本一本組み上げていくのです!
《番付》も「いろはにほへとちりぬるを」あたりまではまだ良いのですが、これが「わかよたれそ・・・」あたりになって来るとどっちが先だっけ? なんて現象が起こったりします(笑)・・・(^^;)。
なにしろ我々大工も普段はあまり使わない言葉ではあるし、『そ通り』あたりまで来る建物となると80坪クラスの大きさなわけですから、滅多にはお目にかかれません!
こうなると図面と睨めっこ状態です(笑)。
やはり木造建築に携わる者の心得として普段より、中学生が英単語を暗記するが如く一字一句覚えておかなくてはいけませんね(~_~;)。
ちなみに《番付》はあくまでも平面的なものなので木造2階建ての場合、土台から始まり、2階床、2階小屋、モヤ(垂木を受ける横架材です)と4層に渡って同じ番付が存在するわけです。
それぞれがどこの階層のものか明記しておかないととても厄介なこととなります。
イッツ・ア・パニックワールドです(笑)!!
さらに厄介なことには『い通り』と『ろ通り』の間に柱などが存在した場合『又ろ通り』なる通りが出現するわけです。
やれやれですね(^^;)。
とは言うものの、案外慣れれてしまえば割と苦にならないものです!
まぁどうでも良いことなのですが、個人的には2階《にの二番》という番付が好きです!
ホントどうでも良いことですね・・・(笑)!
ということで、建築用語で分からないことがあればお気軽に弊社斉藤工務店にご相談下さい!
「私も《にの二番》がどうしても気になって・・・」という方だけは私が個人的にご相談をお受け致します・・・(笑)!!
さて、今年は本ブログ内にてちょっとした新シリーズを企画、準備中なので、そちらのほうもどうかお楽しみに☆
それでは本年も引き続きよろしくお願い申し上げます
m(_ _)m
最後に気になる!?「いろはにほへと・・・」の全文を掲載致しますので、興味のある方は是非覚えてみては如何かと・・・(笑)!
「いろはにほへと
ちりぬるを
わかよたれそ
つねならむ
うゐのおくやま
けふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせす」
さぁ、大工諸君!!
ここ、次の期末試験に出るからよ~く覚えておくように・・・(笑)♪
「え゛~っ」 (゜o゜; !
★★★『あとがき的追記』★★★
正月早々なんだかな~という感じですね(笑)。
『いろはにほへと・・・』ですが、8年経った今でも木造の構造体にはしっかりと刻み込まれています! そりゃあそうですね。千年以上変わらなかったモノがここ7、8年で急に変わられてもね・・・(^^;)。
建築業界用語も訳の分からない言葉が多くて困ります(笑)。
それでも詳しく知りたい! という奇特な方はこの先アップ予定の『建築用語マニアック辞典』(特別編)をご参照くださいm(__)m。
ところで、今でも【2F にの二番】が歯の隙間に魚の小骨が挟まったように気になる方(笑)、相談受付継続中です(^_-)!