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建築あるある秘帖11【触ってはいけないモノ】いよいよ最終回

「触らぬ神に祟りなし」などと言う言葉があるが、出来れば神様にもそのあたりの対応は大人の対応で望んでいただきものである(笑)!
 とは言うものの、寝ている子供と神様にはなるべく触れない方が身のためかもしれない・・・(^_^;)。
 建築においても、うっかり触ったがために窮地に追いやられるケースというものが少なからず存在する。
 今回はそんな”あるある”である。
 まず多いのが家電製品に絡む災厄である。特に古い”エアコン”。これは要注意だ! エアコンが設置してある壁面の工事でどうしてもエアコンを外さなければならないケースというものがある。しかもそれをまた元に戻さなければならないといった場合に、モノを復旧後に壊れるというケースが多々ある。今まで普通に使えていたのに・・・と良く言われるのだが、家電製品の宿命でちょっとした振動や、僅かな衝撃で作動しなくなるという場合がある。
 エアコンの次に多いのがTVと照明器具である。
 TVなどは一度主電源を切ったがために(普段は待機電源)永遠にブラックアウトとか、アンテナの同軸ケーブルを差し替えただけで[ビーキャスガードが正しく挿入されていません]などというこちらにしてみれば濡れ衣的な表示が出現したりする。正しく挿入してるのに画面はそのままとか・・・(^_^;)。
 TV本体自体の寿命なのかもしれないが、何故このタイミングで・・・というケースが往々にしてある(^_^;)。
 照明器具などもクロス張り替えの際に一度外して戻してみたら、灯りがつかないとか(昔の白熱灯や蛍光灯によく有りがちであるのだが・・・)、こちらも何故このタイミングで・・・というほどに絶妙な間でタマ切れになったりする。
 我々の業界ではこのような現象を【トドメの一撃を与える】または【渡したくないけど引導を渡してしまった】と称している(^_^;)(笑)!
 我々がそのモノに触れなければあと1日、もしくは1カ月持ったかもしれない製品を触れたがために壊れるキッカケを作ってしまうというなんとも切ない現象である。
 だからと言って工事の都合上、タッチせざるを得ないのでこのような現象を回避するのは難しいものである。
 
 言うまでもないが【トドメの一撃】だからと言って奥義とか必殺技があるわけではないのであしからず・・・・(ー_ー;)。

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建築あるある秘帖10【建築現場車事情】

 工事現場へは基本、車での通勤。これ、たいていの建築職人のライフスタイルである。朝の満員電車に揺られるという過酷な状況は回避出来るのだが行った先で車を駐車しておかなければならない。
 こんな狭い場所に止めるんですか? という駐車スペースに10回ほど切り返しを要したとしても現場に止められるスペースがあればまだ良い。状況によっては止められるスペースのない現場もある。近くにコインパーキングでもあればそこに止めるのだが、ない場合は誠に困る。
 路上駐車もリスクがあるし、周り近所に迷惑だ。致し方なく遥か遠くのコインパーキングまで車を持って行く。現場に戻って来て何かの道具を忘れていたりすると・・・悲劇である(^_^;)。
 一番最悪なのが帰る時に車の鍵を現場に忘れた場合である。今日1日の疲れがどっと押し寄せる瞬間だ。
 また現場に車を止められたにしても、車に鍵を閉め忘れた場合にたまたま車上荒らしに合い貴重な道具や鞄を盗まれるというケースもある。
 鍵を掛けない自分が悪いのだがショックはショックである。
 大雨の翌日、整地されていない駐車スペースに突っ込んでタイヤがぬかるみに入り脱出出来なかったりとか、途撤もない急坂の途中にある駐車場で究極の坂道発進なくしては脱出できないという難易度Aクラスの駐車場に止めざるを得ないケースなどもある。
 それでも我々建築職人は道具や材料を車で運搬しなければ仕事にならないので必然的に車を使わざるを得ないのである。

 専用のお抱え運転手でもいればいいのだが・・・(^_^;)。
 

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建築あるある秘帖9【イメージ&ダメージ】

 

 イメージ通りの作品に仕上げる。よく聞く言葉だ。

だが、イメージというモノはその人個人の頭の中にある映像もしくは感覚的なモノであってそれをそのまま相手に伝えるということは限りなく難しい。
 例えば”リンゴ”をイメージして下さい、と言ったとする。ある人は赤い皮を付けたまん丸の果物をイメージする。ある人は皮を剥いた切り身のリンゴをイメージする。さらに人によってはアップル社のロゴマークをイメージしたりしてしまう。
 このように一つの単語から想起されるイメージは様々だ。またいくら言葉を重ねようともその人本人が脳内で作り出すイメージを他人が忠実に再現しようとしてもピッタリと重ね合わすことは至難の技である。
 
 建築の場合でもこの”イメージ”と言うものが物議を醸し出す厄介なモノなのである。
 例えばクロス(壁紙)。お部屋の雰囲気を決める大事なアイテムだ。弊社では自然素材である和紙クロスが主流だが、リフォームなどでビニールクロスをお選びになるケースもある。その際、クロスサンプル帖より気に入った品番を選んでもらう。
 これが意外と大変である。サンプル数が多いのだ。同じような柄、同じような色目でも微妙な違いで多岐にのぼる。その中からイメージ通りの壁紙を選んで頂く。約15センチ角ほどのサンプル帖で部屋全体を貼り上げた状態をイメージしてもらう。葉っぱを見て森の木をイメージするようなものだ(笑)。
 想像力豊かでイメージ能力に優れた方ならだいたいイメージ通りの仕上がりになる。そうでない方の場合、「あれ、こんな感じだったかな?」ということもあり得る。品番は同じでも局所的に見た場合と全体的に眺めた場合の印象に若干のズレが生じる訳だ。
 塗装工事でも同様のことが起こりえる。特に色というものは視覚的にハッキリしているようで相対的に見た場合、これまた印象が変わってくる。
 同じ色でも陽光(ひ)の当たり方だったり、照明の当たり方だったり、周りとの色のバランスだったりとかで思い描いていた色と違って見えたりすることもある。
 我々工務店はお客様のイメージを守りつつ、イメージ以上の建物を作らなければならない訳だ。そのためのイメージ共有作業、それが打ち合わせである。

 イメージの違いがダメージにならぬよう、しっかり打ち合わせして頂きたいものである!

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建築あるある秘帖8【トイレジプシー】

 朝、コンビニのトイレに立ち寄り用を足そうとした場合、トイレが使用中であることがしばしばある。

 セルフ統計学⁉ によると使用しているのは85%の割合で建築職人だ(余談だが朝のコンビニレジ占有率も建築職人はかなり上位を占めてる)。これがしばらく待っても開かない。限界が近づく。もう、扉を連打したくなる衝動を押さえ込むの必死だ。
 諦めて他のコンビニへ行くがそこも使用中(^_^;)。泣きたくなる。近くに公園もない。女子トイレ突入の誘拐を必死に押さえつつ店を飛び出し、道中見つけたガソリンスタンドに飛び込む。そんな時に限って清掃中だったりする(^_^;)。もう朝のトイレ”あるある”である(笑)。
 
 新築現場などには仮設トイレなるものがよっぽどのことがない限り置いてある。誠にありがたい。トイレの神様に感謝しながら使用するべきだ(^_^;)。
 が、しかし・・・。この仮設トイレ、いつまでもあるわけではない。外構工事などが始めると邪魔なので撤去してしまう。
 近くに公園のトイレやコンビニでもあればまだいいのだが、ないとなるとかなり困る。トイレを探してさまよわなければならない。
 車で5分圏内にあれば儲けものである。夏などそれほどトイレ使用率は高くないが、冬の寒い時期などは行ったと思ったらまた行きたくなる始末だ。1日5回行ったとしよう。往復でかかる所要時間は用を足すことも含めると15分。それこそトイレが使用中だった場合などは20分。トイレに費やす時間が1日100分。約1時間半だ。
 もったいない話だが、致し方ない。工期は決まっているので残業である(^_^;)。
 
 これも余談だが現場の仮設トイレは建物の外部に設置してある。なので極寒の冬期などは、朝水が凍っていて断水などという状況もないではない。そうなるとまた、さまよえるトイレジプシーである・・・(^_^;)。

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建築あるある秘帖7【伝言ゲームのファイナルアンサー⁉】

 

 伝言ゲーム若しくはジェスチャーゲームというモノをしたことがあるだろうか?
 一人の言ったことや、ジェスチャーを次の人に正しく伝える。それだけのことなのだが人数が多ければ多いほどモノの見事に正しく伝わらない(^_^;)。人間の解釈能力というものには明らかに個人差があり、記憶力だけでは補えない個別変換システムのようなもの(またの名を拡大解釈とも言う)が人間の脳内には内蔵されてるとしか思えない。噂に尾鰭(おひれ)がつくわけである(^_^;)。
 例えばある人がわたしに「さっき赤い服を着た女の人が通りすがりの老人に声を掛けられて駅の方へ向かって行きました」と伝えるとわたしは次に会う人に「さっき赤い服を着た女の子が通りすがりの老婆に声を掛けられて慌てて駅の方に駆け出しました」と伝えてしまう。もう女の人から女の子になり、老人が老婆になり、ただ向かって行ったのが慌てて駆け出したことなってしまっている。

 もうわたしの中では赤い服をヒラヒラとなびかせながら駅にダッシュする女の子のイメージに脳内変換されてしまっているのだ(^_^;)。さらに次の次の人に至っては「さっき赤い靴をはいた女の子が異人さんに駅の方に連れて行かれました」と言うことになり、もう誘拐騒ぎである(笑)。
 このように音声、若しくは身ぶり手振りでは情報を正しく伝えられないということだ。
 
 建築業界でもこれに類するケースが(ここまでひどくはないが・・・笑)・・・ある。実例を挙げれば、O方A子さん(35歳独身)という現場監督がいたとする。趣味は書道で物静かな和風美人である。悩みといえば婚活が上手くいかず良縁に恵まれぬということだ。
 という訳でA子さん、お客様よりキッチンで使う簡単な作業台製作を依頼される。高さが850。奥行き450。ワイドが1200だ。天板はステンレスのヘアライン。A子さんは大工さんに台を、板金屋さんにステンレスの天板を発注依頼する。大工さんには図面を渡し寸法通りに作ってもらう。板金屋さんには電話で寸法だけいい、材種をステンレスヘアラインと伝える。板金屋さんの社長は職人に寸法を伝え、ステンレスの天板を作るよう指示する。板金職人は社長から言われた寸法を書きとめステンレスの加工を始める。
 後日、現場にて作業台にステンレスの天板を被せて工事終了となるはずであった。
 A子さん、取り付ける予定の天板を見て思わず叫ぶ。「な、何で鏡面なのよ・・・!」「あれ、鏡面じゃないの?」と職人。「え~、社長に言ったのに・・・」

 鏡のようにピカピカのステンレスの天板に映る二人の顔にはもちろん笑顔はない・・・(^_^;)。ステンレスには〖鏡面仕上げ』と『ヘアライン仕上げ』の2種類がある。「あ~ヘアラインって書いて伝えれば良かった・・・」後の祭りである。A子さん、その夜髪を振り乱して半紙に”ヘアライン”と”鏡面”の文字を筆で何枚も書きなぐったのはいうまでもない(^_^;)。
 やれやれである。
 品番発注も怖い。長々しい品番を一文字でも書き間違えるか、言い間違えるかで違う商品が届いてしまう。書き間違えなら責任の所在がはっきりするが、電話や口頭での発注ミスは言った言わないの世界だ。
 極力いくつものチェックと発注者の最終確認は必須である。

 それでも人が何人か介在する限りミスはおこる。あとはそのミスを如何に上手く対処するかにかかっているのだが・・・。
 
 ところで「赤い靴」の女の子は異星人に連れられてどこへ行ってしまったんだろう・・・? ・・・あれっ? 

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