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建築あるある秘帖7【伝言ゲームのファイナルアンサー⁉】
伝言ゲーム若しくはジェスチャーゲームというモノをしたことがあるだろうか?
一人の言ったことや、ジェスチャーを次の人に正しく伝える。それだけのことなのだが人数が多ければ多いほどモノの見事に正しく伝わらない(^_^;)。人間の解釈能力というものには明らかに個人差があり、記憶力だけでは補えない個別変換システムのようなもの(またの名を拡大解釈とも言う)が人間の脳内には内蔵されてるとしか思えない。噂に尾鰭(おひれ)がつくわけである(^_^;)。
例えばある人がわたしに「さっき赤い服を着た女の人が通りすがりの老人に声を掛けられて駅の方へ向かって行きました」と伝えるとわたしは次に会う人に「さっき赤い服を着た女の子が通りすがりの老婆に声を掛けられて慌てて駅の方に駆け出しました」と伝えてしまう。もう女の人から女の子になり、老人が老婆になり、ただ向かって行ったのが慌てて駆け出したことなってしまっている。
もうわたしの中では赤い服をヒラヒラとなびかせながら駅にダッシュする女の子のイメージに脳内変換されてしまっているのだ(^_^;)。さらに次の次の人に至っては「さっき赤い靴をはいた女の子が異人さんに駅の方に連れて行かれました」と言うことになり、もう誘拐騒ぎである(笑)。
このように音声、若しくは身ぶり手振りでは情報を正しく伝えられないということだ。
建築業界でもこれに類するケースが(ここまでひどくはないが・・・笑)・・・ある。実例を挙げれば、O方A子さん(35歳独身)という現場監督がいたとする。趣味は書道で物静かな和風美人である。悩みといえば婚活が上手くいかず良縁に恵まれぬということだ。
という訳でA子さん、お客様よりキッチンで使う簡単な作業台製作を依頼される。高さが850。奥行き450。ワイドが1200だ。天板はステンレスのヘアライン。A子さんは大工さんに台を、板金屋さんにステンレスの天板を発注依頼する。大工さんには図面を渡し寸法通りに作ってもらう。板金屋さんには電話で寸法だけいい、材種をステンレスヘアラインと伝える。板金屋さんの社長は職人に寸法を伝え、ステンレスの天板を作るよう指示する。板金職人は社長から言われた寸法を書きとめステンレスの加工を始める。
後日、現場にて作業台にステンレスの天板を被せて工事終了となるはずであった。
A子さん、取り付ける予定の天板を見て思わず叫ぶ。「な、何で鏡面なのよ・・・!」「あれ、鏡面じゃないの?」と職人。「え~、社長に言ったのに・・・」
鏡のようにピカピカのステンレスの天板に映る二人の顔にはもちろん笑顔はない・・・(^_^;)。ステンレスには〖鏡面仕上げ』と『ヘアライン仕上げ』の2種類がある。「あ~ヘアラインって書いて伝えれば良かった・・・」後の祭りである。A子さん、その夜髪を振り乱して半紙に”ヘアライン”と”鏡面”の文字を筆で何枚も書きなぐったのはいうまでもない(^_^;)。
やれやれである。
品番発注も怖い。長々しい品番を一文字でも書き間違えるか、言い間違えるかで違う商品が届いてしまう。書き間違えなら責任の所在がはっきりするが、電話や口頭での発注ミスは言った言わないの世界だ。
極力いくつものチェックと発注者の最終確認は必須である。
それでも人が何人か介在する限りミスはおこる。あとはそのミスを如何に上手く対処するかにかかっているのだが・・・。
ところで「赤い靴」の女の子は異星人に連れられてどこへ行ってしまったんだろう・・・? ・・・あれっ?