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日々の業務スペシャルヴァージョン【建築における【図面】の役割と効用についての一考察】(特別編)

建築における【図面】の役割と効用についての一考察

  • 2012・08.15 Wednesday

 

子供の頃、夏休みのお盆を過ぎたあたりからどんよりと頭の片隅に居座り続ける【夏休みの宿題】という暗雲。何でもっと早くやっておかなかったのかな~と毎年のように思うやるせない後悔の念‥(^_^;)。

という訳で(若き日のリベンジです)夏休み特別レポート。半期に一度の(笑)【日々の業務】スペシャルバーゲン‥いやスペシャルバージョンの復活です!

今回は我々建築に携わる者にとってとても大切な【図面】についてです!

まぁ毎度のことではありますが今回も軽~く読み飛ばして下さいね(^_-)!

家を建てるに当たって何が必要かと言えば‥先ずは《お金》‥ハハハ、もちろんそれはそうなのですが《お金》があっても建物の設計図が無ければどんな家を建てていいか誰も分かりません(^^;)。

自分のイメージした家を作るには何はなくとも【図面】が必要なのです!
全てはそこから生み出されます。

では【図面】と言ってもどんな図面が必要なのか?
一番分かり易くなんとな~くイメージしやすいのが部屋の間取りを配置した《平面図》です!
よく日曜日の新聞広告(建売り住宅などの)でチラリとお目にかかりますよね(笑)。あれです!

弊社は殆どが注文住宅なのでその土地の形状、お客様のライフスタイルに合わせて間取りを配置していきます。

《平面図》とは簡単にいうと建物を上から見た図面です! とりあえずは思いっきり上から目線で眺めましょう(笑)。
この《平面図》というものにはかなりの量の情報が盛り込まれています。
部屋の間取りはもちろんですがその他にも部屋の大きさを明記した寸法、窓の位置や窓の大きさ(サッシ記号【AW】で表記)、内装建具【WD】の位置(建具がどちらの方向に開くかなども分かります)、さらに照明器具の場所や種類、カウンターや家具、家電製品の配置などなど。
細かいことを言えば階段の段数まで分かります!

「素読」などという言葉もありますが我々プロはくどいほど平面図を上から目線で(笑)日々睨んでいると大まかな完成型をイメージすることが出来ます!

とは言うものの、もちろん《平面図》だけでは家は完成しません。
建築図面にはその他にも《配置図》、《仕上表》、《断面図》、《立面図》、《矩計図(かなばかりず)》、《展開図》などがあります。
この他にも詳細なパーツ図面もありますが大まかにこれらの図面だけは最低限必要です!

《配置図》とは土地と建物の位置関係及び地盤の総体の高さ関係を記した図面です。
《仕上表》は建物の仕様を明記した図面です。通常《仕上表》には外部と内部の仕様が表記されています。例えば屋根はガルバで外壁はスイス漆喰であるとか、1Fリビングの床は桧フローリングでトイレの壁は珪藻土だとか‥。

《断面図》とは、強引な例えで申し訳ないのですが建物をウエディングケーキ入刀の要領で見えないナイフでスパッと真っ二つに割った時に見えるであろう図面です。なんとな~くイメージ出来ます(笑)?
この図面で主に高さ関係が分かります!
似たような図面で《矩計図(かなばかりず》というものがありますが、これは高さ関係及び壁の厚みなどをより詳細に記した図面です。細かな数字と文字がいっぱいの老眼の方(筆者も含めて‥)には誠に泣かせる図面ではあります(^_^;)。

《立面図》とは建物の外観を東西南北各一方向から見た時の図面です!
建物の形状がよく分かります!
屋根形状や窓の大きさや高さなどがイメージ出来、建物のより詳細なプランニングなどに役立ちます!

《展開図》とは前述した《断面図》を一つの部屋に対していろいろな方向から切り取ったような図面です!
しつこいようですが、例えるならばウエディングケーキ入刀後に列席者全員分のケーキを切り分けてるようなものです(笑)。
【図面】とはあくまでも二次元的なものなのでそこに存在するであろう奥行き的なものがイマイチ判然としません。
そこで一つの部屋を東西南北四方向からそれぞれ切り取った家の断面である展開図を組み合わせることによっていろいろなものの奥行きが判明します!
《展開図》におけるイメージによる3D化は慣れていないと最初のうちは戸惑うかもしれません。
こればかりは特殊な眼鏡を使っても立体化してくれませんので‥(^_^;)。

という訳で建築における【図面】とは、二次元の紙の上から三次元の現実空間に建築物を生み出させる誠に重宝な代物ということです《さんざん書いておいてなんというか小学生の作文的な結論ですね‥(^-^;)》。

とにかくしっかりとした【図面】があれば家は9割方出来たも同然です。‥まぁこれはあくまでも頭の中のイメージではありますが‥(笑)!

哲学的に言わせてもらえれば、
「答は全てそこにある」
です!

なんだか名探偵の決めゼリフみたいですね(笑)!?

さぁ全国の学生諸君、夏休みも残りあとわずか!

迫り来る工期を前にした現場監督の心境でしょうが(笑)、怒涛のラストスパートで頑張ろう!!

では健闘を祈る(^_^)/~。

 

 

★★★【あとがき的追記】★★★

 

 

いや~たまには為になる事を書いていますね(笑)! 文章は相変わらずひどいですが・・・m(__)m。。

 

「答えは全てそこにある」・・・カッコいいフレーズですが日常生活ではほぼ言わないであろう言葉ですね(^^;)! しつこいようですが、やはり図面は上から目線が1番(笑)!

 

何気に読んでいて気付いたのですが、私8年も前から老眼だったのですね・・・どうでもいい話ですが(^^;)。

『日々の業務スペシャルヴァージョン』はこれ以降アップされていないのは少し寂しいような気がします。忘れられるはずですね・・・(笑)。10年に一度の・・・ということで再開出来れば良いですね(^_-)!

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日々の業務スペシャルヴァージョン【君は『いろはにほへと…』を最後まで言えるか!?】(特別編)

 

《君は「いろはにほへと・・・」を最後まで言えるか!?

  • 2012・01.03 Tuesday

 

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます<m(_ _)m>!

通常ブログはお正月休みと言うことで今回は新春特別企画。《日々の業務スペシャルヴァージョン》の復活です!
復活?  そんな企画ありましたっけ?  はい、あったんです!
まぁ~本人も忘れていましたが・・・(笑)!
気になる方は過去のブログ(日々の業務)を検索してみてください!

と言うこととで今回のテーマは【業界用語】です!

我々の身を置く建築業界では普段の生活ではあまり使用しない用語や単語を使用するケースが多々あります! 
例えば「矩(かね)を巻く」。これはどういうことかと言うと、《さしがね》と呼ばれるL型の定規で材料に対しての直角墨を出すことをこのように言ってます!
さらに、「窓マグサの陸(ろく)を確認して・・・」とか。
この《窓マグサ》とは窓台下地のことで、《陸(ろく)》とは水平を意味してます。
他には「インニッサンで天井の野縁(のぶち)を組んで・・・」なんて言葉。野縁とは天井材を貼るための下地組みのことです。スタッフブログにはよく出て来ますね(^_-)!
【インニッサン】とは材料の名称で、30×40サイズのおもに下地材として使われることの多い材木です。
ではなぜこの30ミリ×40ミリの材料のことを【インニッサン】と言うのか!?
実はこれ尺貫法表記の名残によるものです。

本来この手の下地材は1寸2分(いっすんにぶ※約36ミリ)×1寸3分(いっすんさんぶ※約40ミリ)の大きさの材料でした。
1寸2分で【インニッ】1寸3分で【サン】。で【インニッサン】です!
ちなみに1寸が約30ミリ、一分が約3ミリです!

現在のメートル法に換算し、切りのいい数字に置き換えたのが【インニッサン】すなわち30×40と言うわけです。

木造建築では現在(いま)に至るもこの「尺貫法」がまかり通っております・・・(^^;)。
1尺が303ミリ。1寸や1分は前述した通りです。さらに《厘》と言うのがあり1厘で0.3ミリになります。その下には《毛(もう)》なんていうのもありますが(0,03ミリ)、殆ど見えません(笑)。

さらに1間(いっけん)と呼ばれると6尺、つまり約1800ミリ。よく1間間口などと言われたりしますよね。

尺寸法でよく我々が使用する言葉で《3×6(さぶろく)》と言う言葉があります。

これは石膏ボードや合板の規格寸法が910ミリ×1820ミリ(3尺×6尺)で作られているためです!

他にも「この内法材(障子などの鴨居、敷居)ヨンブシチで溝ついて・・・」など。
この「ヨンブシチ」とは7分(しちぶ※21ミリ)の溝が2本、4分(よんぶ※12ミリ)の隙間をあけてついてある状態のことを表します。
これはどういうことかと言えば、障子の場合厚みはたいてい30ミリです。21ミリの溝面に障子を納め、障子同士が3ミリの隙間があくような状態を作るわけです。
ちょっと説明が分かりづらいですがそういうことです(^^;)・・・家に障子のある方は見てみて下さい!(笑)。

尺だとか寸だとか言う言葉を一般の方はあまり使いませんよね。
例えば『一寸の虫にも五分の魂』なんて諺もあるにはありますが、これって3センチの虫にも15ミリの魂ってことですかね(笑)。
で、3センチの虫ってまさかゴキ・・・ウギャ~ヽ(≧▽≦)/。

さて、木造在来工法というのは歴史がなにしろ古いです!
千年という時を経て未だに受け継がれている技法があります。

木材同士を接続させる『継ぎ手』及び『仕口』なる技法がそれです。

現在のプレカットという機械加工においてもこの技法は取り入れられています!

『腰掛け蟻継(ありつぎ)』、『腰掛け鎌継(かまつぎ)』などがその代表的な例です。
その他に特殊継ぎ手として『追掛け大栓継(おっかけだいせんつぎ)』、『金輪継(かなわつぎ)』、『台持ち継』、『車知(しゃち)継』などなど。

このへんになってくると技法というより殆ど秘法に近いです(笑)(^^;)。

この『継ぎ手』たち、知識としては分かっていてもなかなか実践で活用する機会がないのも事実です。とにかくやたらと手間と精度が要求される技なので・・・。

もちろん『蟻継』、『鎌継』以外は複雑過ぎて工場加工が出来ません!
やるとなればひたすら手加工です・・・(^^;)。
変わったところでは、一度入ったら絶対に抜けない『地獄ホゾ』と呼ばれる世にも怖ろしいネーミングの仕口などもあります(笑)!

『継ぎ手』、『仕口』などの名称は構造体を加工する際に頻出する用語ですが、それらを加工するための設計図面も木造建築の場合、ちょっと特殊な用語が出て来ます。

その最たるモノがタイトルにもなっている『いろはにほへと・・・』です!

『いろはにほへと・・・』と言えば今の季節柄カルタを思い浮かべますが、最近はあまり聞きませんよね。「犬も歩けば・・・」というやつです!

で、木造建築の場合、図面がカルタになっているわけではなく(そりゃそうだ)、《番付》と呼ばれる座標軸に『いろはにほへと・・・』が用いられています。

もちろん図面上に〔横綱〕とか〔大関〕などと記されているわけではありませんよ(笑)!
大抵の場合X軸方向(縦方向)には数字の「一、二、三・・・」が、Y軸方向(横方向)には「いろはにほへと・・・」が3尺(910㎜)ピッチで記されています。

と言う訳で図面上のグリッドの一番右上のポイントが「いの一番」となります!
その下(3尺下がって)が「いの二番」となり「いの一番」に対して(3尺)左隣が「ろの一番」となります。
そして「い」の縦列を「い通り」と呼びます。

この《番付》に基づいて我々大工は細かく刻まれた材料を一本一本組み上げていくのです!

《番付》も「いろはにほへとちりぬるを」あたりまではまだ良いのですが、これが「わかよたれそ・・・」あたりになって来るとどっちが先だっけ? なんて現象が起こったりします(笑)・・・(^^;)。
なにしろ我々大工も普段はあまり使わない言葉ではあるし、『そ通り』あたりまで来る建物となると80坪クラスの大きさなわけですから、滅多にはお目にかかれません!

こうなると図面と睨めっこ状態です(笑)。

やはり木造建築に携わる者の心得として普段より、中学生が英単語を暗記するが如く一字一句覚えておかなくてはいけませんね(~_~;)。

ちなみに《番付》はあくまでも平面的なものなので木造2階建ての場合、土台から始まり、2階床、2階小屋、モヤ(垂木を受ける横架材です)と4層に渡って同じ番付が存在するわけです。

それぞれがどこの階層のものか明記しておかないととても厄介なこととなります。
イッツ・ア・パニックワールドです(笑)!!
さらに厄介なことには『い通り』と『ろ通り』の間に柱などが存在した場合『又ろ通り』なる通りが出現するわけです。
やれやれですね(^^;)。

とは言うものの、案外慣れれてしまえば割と苦にならないものです!

まぁどうでも良いことなのですが、個人的には2階《にの二番》という番付が好きです!
ホントどうでも良いことですね・・・(笑)!

ということで、建築用語で分からないことがあればお気軽に弊社斉藤工務店にご相談下さい!
「私も《にの二番》がどうしても気になって・・・」という方だけは私が個人的にご相談をお受け致します・・・(笑)!!

さて、今年は本ブログ内にてちょっとした新シリーズを企画、準備中なので、そちらのほうもどうかお楽しみに☆

それでは本年も引き続きよろしくお願い申し上げます
m(_ _)m

最後に気になる!?「いろはにほへと・・・」の全文を掲載致しますので、興味のある方は是非覚えてみては如何かと・・・(笑)!

「いろはにほへと
 ちりぬるを
 わかよたれそ
 つねならむ
 うゐのおくやま
 けふこえて
 あさきゆめみし
 ゑひもせす」

さぁ、大工諸君!!
ここ、次の期末試験に出るからよ~く覚えておくように・・・(笑)♪

 「え゛~っ」 (゜o゜; !

                                 

 

★★★『あとがき的追記』★★★

 

 

 正月早々なんだかな~という感じですね(笑)。

 『いろはにほへと・・・』ですが、8年経った今でも木造の構造体にはしっかりと刻み込まれています! そりゃあそうですね。千年以上変わらなかったモノがここ7、8年で急に変わられてもね・・・(^^;)。

 

 建築業界用語も訳の分からない言葉が多くて困ります(笑)。

 それでも詳しく知りたい! という奇特な方はこの先アップ予定の『建築用語マニアック辞典』(特別編)をご参照くださいm(__)m。

 

 

 ところで、今でも【2F にの二番】が歯の隙間に魚の小骨が挟まったように気になる方(笑)、相談受付継続中です(^_-)!

 

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日々の業務スペシャルヴァージョン【ハッピーな法被(はっぴ)】(特別編)

ハッピーなはっぴ

・2010・06.07 Monday

 

 お久しぶりの《日々の業務》スペシャルヴァージョンです!
 って第何弾でしたっけ・・・(笑)?
 前回からのブランクが長すぎて忘れてしまいますね・・・!
 今回もかる~く読み飛ばしちゃって下さい(^_-)-☆。

 今回のテーマは職人たちの拘りのアイテムについて・・・!

 医者に白衣、サラリーマンにスーツが似合うように、職人にも作業着(!)がよく似合う。似合うと云うより、機能性を重視した場合、自ずとそういった服装に行き着くのですが・・・。
 昔の大工は、紺の法被(はっぴ)に捩じり鉢巻き、足元はビシッと足袋で決める! そういった伝統的なスタイルが主流であったようですが、現在(いま)は違います。そのような恰好で現場に出ている大工など、ほんの数人しかいません(でも、いることはいるのです。ホントに!!)。
私個人としては、そのスタイルはなんとなく恰好良くていいと思うのですが、それを着こなす勇気と自信が・・・ない。つまり、あのいでたちでビシッと決めるには、それなりのポリシーと鋼鉄のような勇気と経験に則られた年季がいるのです!
 現在(いま)は一般的に作業着屋などで売っているニッカタイプの作業ズボンや、腿のあたりに大きなポケットの付いたズボンなどがほとんどで、上着はトレーナーかTシャツ、もしくはポロシャツなどが主流を占めています。

それでも作業着屋などに行くと、超ド派手なシャツ(龍や虎、さらには狼や豹などが描かれていたりする)や、まるで飛び魚の羽のように、裾のヒラヒラとしたスーパーニッカズボンなどが置いています。買う人がいるのだから陳列されているのでしょうが、それもまた自分では着こなす勇気と自信がありません(笑)。
 ジーンズにTシャツというのもありなのですが、作業性の面からいくとやや厳しいものがあります。我々の仕事は割と屈んで作業することが多いので、あまりピシッとしたジーンズやぴちぴちにはちきれそうなシャツでの作業は考えものなのです。それと現在(いま)は、携帯電話を肌身離さず持ち歩いているので、懐の深い(だぼだぼ系の)ポケットの付いたズボンの方がなにかと便利だったりします。
 

それから職人の恰好で目につくのが、腰に巻きつけた革袋です。『釘袋』とも『腰袋』とも云われるのですが、たいていの建築職人が身につけてます。いわば職人さんの必須アイテムというところ・・・。この中には、職人が普段よく使う小物が収納されています。例えば『玄能』と呼ばれる金槌や、『スケール』と呼ばれるメジャー。その他小さなバール(釘抜き)やカッター、釘締めなどなど・・・。いわば大工さんの7つ道具です。
 その他そこにビスや釘などを詰め込み、作業に臨みます。これがけっこう重たい! 腰痛持ちにはかなり応えます。なかには、恋人の写真やコンビニの領収書、なぜか交通安全のお守り(なんで?)など関係のないものまで忍ばせている輩もいますが(いるかっ!)、そういう人は稀なので黙殺してよろしいです(笑)!
 7つ道具の中で忘れてならないのが『鉛筆』です! シャーペンでもボールペンでもなく、もちろん万年筆などではなく『鉛筆』なのです。我々はこれがないと仕事になりません。
 鉛筆と一口に云ってもいろいろな種類がありますが、私個人としては、硬さがHか2H、長さが10センチほどのやつが一番使い易いような気がします。HBあたりだと芯の減りが早すぎるし、すぐに線が太くなる。3H以上の芯では、とにかく薄いのと、間違って材料に墨をした時に消しゴムで消せなかったりします(がっつり跡が残るので・・・)!
 まぁやむを得ず急場凌ぎで、キティーちゃん! の鉛筆などを使うこともありますが(笑)・・・。基本はハイユニの2H(これ別に三菱鉛筆さんの宣伝ではないです・・・)。
 これを普段どこに携えているかと云えば、『腰袋』ではなく耳の上にのせていることが多かったりします(のせるというよりは挟む!)。
では、なぜ耳の上なのか? 思うに、人間の体の中で物を挟んでおける場所というのは、指以外では耳の上しかないからではないでしょうか。他には・・・まぁ鼻の穴に差し込んでおくという手もないではないのですが、それではあまり見映えがよろしくない(そりゃそうだね!)。
やはり耳の上が一番です!
 
その昔、鉛筆のなかった時代の大工は、『墨差し』と呼ばれる竹で作った、毛筆とバターナイフのあいのこのような道具で墨を付けていました。それは0.1ミリほどの線を引けるスグレもので、現在(いま)でも存在はしますが、滅多に使われることはありません。柱や梁といった構造材を、自分たちで墨付けして刻む場合のみ使われるぐらいです。それさえも今はほとんど工場でコンピューターと機械がやってくれるので、現在(いま)の若い大工などは見たことはあっても使ったことなどないのではないでしょう(そういう自分も滅多に使わないけど・・・)。
その『墨差し』と対をなすのが『墨壺』です。これがどういう道具かというと、習字における硯(すずり)のような存在です。この形状がまさに『壺』という感じで、パっと見、瓢箪(ひょうたん)を半分に割ったような不思議な恰好をしています。先端の方には糸車が付いていて、材木などに直線の墨を打てるようになっています。
 昔の『墨壺』の凄いのになると、こってりとした彫刻が施されているものが多く、亀や鶴などはあたりまえだのクラッカーで(ふ、古すぎます)、龍や河童!(ホントかい?)なんてものもあります。現在(いま)でもこだわりの職人の間では、これらの彫刻墨壺は根強い人気が・・・。しかし現在普及している墨壺は軽量コンパクト化し、かつてのような趣はほとんどありません。
 
『墨差し』や『墨壺』に限らず、建築職人のマテリアルに対する拘りというものは相当なものです。
とにかく我々は何はなくとも道具がなければ仕事にならないので・・・これホント!

 ***いや~それにしても河童の墨壺は気になるなぁ~!

 

 

★★★『あとがき的追記』★★★

 

 相変わらずタイトル、懲りていませんね(笑)。

 『ハッピーな法被』って・・・どんな法被ですかっ!?

 

 建築に限らず【職人】の方たちというのは拘りが多いものですが、モノに拘るからこそいい仕事が出来るのですかね・・・(^_-)!

 

追加報告的に言わせてもらえば、残念ながら10年経った今でも河童の墨坪の実物にはお目にかかれておりません・・・(^^;。

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日々の業務スペシャルヴァージョン【ハウス・アドヴェンチャー】(特別編)

ハウス・アドヴェンチャー
• 2008.10.26 Sunday

 お久し振りの《日々の業務》スペシャルヴァージョン第3弾です。
 
ということで今回のテーマは建築における様々な危険性について・・・!
 労働基準局の方は読まないでね(笑)

 快適で心安らぐ家作りが弊社のモットーだが、そういった建物を提供する過程において我々工務店は、幾多の難工事やあまたの試練をくぐり抜けなければならない。
 意外に思われるかもしれないが、建築中の建物にはそこそこ! に危険を伴う工事というものがある。
 例えば勾配のキツイ屋根の工事や、1F~2Fまでズドーンと吹き抜けている場所での工事がそれだ。その都度足場を良くして慎重に事を進めるのだが、なにぶん高所での作業なので気を抜くと大変なことになる。屋根の上から眺める景色は格別なものだが、高所恐怖症の方にはご遠慮いただいている。(笑)
 それと建築現場内には数多くの資材や機材が搬入される。まとまると物凄い分量だ。下手をすると、巨大迷路の中に放り込まれたような錯覚に陥る。遭難しかけた者も数知れず・・・!?
 また、現場における防犯や気象災害にも注意を払わなければならない。新築の現場などで道具を盗まれたとか、不法投棄されたとか、ひどいのになると放火なんてこともありえる。出来ることなら、建築期間中24時間現場に貼り付いていたいのだが、そういうわけにもいかないので戸締りを良くし、現場の周りを常に整理整頓することを心掛けている(ホント、犯罪のない世の中にしたいネ!)。
 それとあなどれないのが、台風のシーズンだ。台風などはある程度前もって情報を得られるので、足場のネットを外したり、現場の周りにある飛散しそうな物を片付けるとかして対処するわけだが、それでもあの猛烈な雨風の音を聞いていると心配になってくる。
 
 しかし我々の仕事の中で、最もスリリングで恐れられているのが、真夏の小屋裏工事と古い家の床下工事だ。まるで灼熱地獄と暗黒世界探検行である。
 小屋裏部屋とうのは物を収納するには便利なところだが、真夏の施工となるとまったくもって有り難くない所だ。日中の気温が30℃を超える真夏日の小屋裏の温度は軽く50℃を超える。そんな時にそんな所で作業するのは自殺行為に等しい。しかし、やむを得ずやらなければならない時もあるのだ。その場合ある程度、下準備に時間をかけなければならない。
 まずペットボトルや水筒にたっぷりとミネラルウォーターを詰め込み、脱水症状に備える。次に扇風機を一台用意し、さらに熱冷ましシートをおでこに貼り付ける。さらに小屋裏部屋というとたいてい暗いので、蛍光灯タイプの作業灯を用意する。白熱灯はそれ自体熱いので火に油を注ぐようなものだ。
 加えて、階下で材料などを手渡してくれる人材を一人確保出来れば理想的だ。万が一小屋裏で倒れても誰か人がいれば、救急車などを呼んだり介護にあたるなりしてもらえるからだ。いわばエベレスト登山におけるアタック隊とサポート隊のような関係である。(アハハ・・・ちょっと違うか)

 そこまで準備が整えば、あとはその日の晩に飲むよく冷えたビールのことだけを思い描きながら作業するのみだ。その際30分以上の労働は危険である。いくらそこまで段取りしても、50℃強の室温で作業できる限界点は自ずと存在する。それを過ぎると呪文のように「ビール、ビール」と唱え始める。そうなってきたらかなりヤバイ! 30分に一回10分程のインターバルを挟みながらの作業が妥当だ。それでも小屋裏部屋から下界に降りてくると、たとえ30℃以上の気温でも高原のそよ風に吹かれているような爽快感を味わえるのが唯一の救いだ。
 
 
それともう一つ、真夏の小屋裏工事と同様に職人たちに怖れられている工事が、古い家の床下工事だ。リフォーム工事などで、傷んだ床下の下地を直さなければならなかったりとか、床下断熱材を新たに充填する場合などは、どうしても床下に潜って作業することになる。
 そういった古い建物の場合、床下の土間はたいてい土で、しかも空間(スペース)がやたらと狭い。そんな所へ潜るだけでも辛いのに、なおかつキッチリと仕事をしてこなければならないのだ(大変ではあるが、どんな状況であろうと高いお金を貰って働いているのだ。与えられた任務は完璧にこなさなければプロとはいえない)。
 たいていの場合床下へ潜れる場所というのは、台所の床下収納庫か和室だ(和室の場合、畳を起こし,荒床を切り抜いて侵入する)。床下世界へと一歩足を踏み入れると、そこには地上とは異質な空間が拡がっている。まず空気がひんやりとし、底知れぬ闇と静寂が支配する暗黒世界が待っている。作業場所が侵入口の近くならまだしも、どういうわけか、たいていの場合遠く離れている。
 作業灯の明かりだけを頼りに、目的の場所まで道具と材料を引きずりながら這い進む。もうほとんど米軍海兵隊なみの匍匐(ほふく)前進だ。道中、いろいろな配管や根絡み(小束を絡んでいる板)をかい潜り、クモや奇怪な床下生物に行く手を阻まれながらも目的地まで到達する。妙な窒息感に襲われながらも、作業灯の灯りだけを頼りに作業を進める。身動きの取りづらい狭い空間なので思うように作業も進まない。
 そんなこんなで作業完了。一息つく暇もなく、さらなる苦難の脱出行が続く。出入り口から漏れる地上の明かりが見えてくると、泣きたくなるぐらいホッとするものだ。
 とにかく無事奇跡の生還を果たし、体に付いた埃を払っていると、ふと妙な違和感を感じたりする。
「ん? ないっ!」
 携帯電話や財布を途中で落として・・・。まさに悲劇である。
 
 このように、幾多の困難を乗り越え建物はお客さまに引き渡される。無事工事が完了し、お客さまに喜んでいただければ、我々の微々たる苦労も報われるとういものだ。

 ***  それにしても小屋裏工事の晩に飲むビールってなんであんなに美味しいんだろうネ!

 

★★★【あとがき的追記】★★★

久しぶりに読み返してみましたが、文章が稚拙なのはともかく、内容がフィクションっぽいですね。でもこれ、ほぼノンフィクションです(笑)。
現在では断熱材の性能も飛躍的に向上し、当時のような灼熱地獄的小屋裏部屋というのは少なくなりましたが、築年数の古い住宅のリフォームなどでたまに遭遇するケースがあります(>_<)。

それが真冬に当たれば良いのですが、大抵の場合真夏に巡り合います・・・(^^;)

床下工事の『暗黒地底探検行』も“ベタ基礎”が普及している現在では、めっきり謎の床下生物に遭遇する機会も減りました(笑)。
だからといって、床下に潜る工事がないわけではありません(^^;)。
というわけで追加エピソードをひとつ・・・。

古い床がぶかぶかしていると言うので、台所の床下収納庫から潜って、床下からフローリング材を補強するという工事。
床下は土です。何年か前にシロアリ消毒業者が潜って床下を消毒したそうなのですが、、無理やり基礎に人通口を開けて本来は行けない場所まで潜って行けたと・・・。
工事箇所は本来潜って行けない場所なのですが、消毒屋が行けたのだからあなたも行けるだろうと・・・(^^;。
汚れてもいいようにツナギを着込み、照明器具と補強材を携えて、いざ、床下へ!
せ、狭いっ! 地面と床下の隙間は30センチほどしかありません。
定番の匍匐前進で目的地に向かいます。消毒屋が無理矢理開けた人通口を抜けようとするのですが、、消毒屋さんが小柄な方だったのか人通口は縦横肩幅ぐらいしかありません・・・(^^;。む、無理でしょう! と思いつつ、あちこちの関節が悲鳴を上げるなか、何とか潜り抜ける事が出来ました。
後は作業灯の灯りだけを頼りに、身動きの取れない体に鞭打って粛々と作業を進めます。
 工事も終わり息苦しさが残る中、進入口へ後戻りです。
 例の人通口からまず作業灯や道具を放り投げ、頭から突っ込み肩を脱臼しそうになりながらも前へ進みます。
 しかし、腰をくぐらせる段になり激痛が走ります。えっ・・マジですか( ;∀;)? ぬ、抜けない!
プチパニック状態です(>_<)。
 
 大声で叫びだしたい誘惑をグッと堪え、何とか人通口の向こう側へ抜けようと試行錯誤を繰り返します。ですがどうしても腰の部分が引っ掛かります(>_<)。入って来れたのだから抜けられるはず・・・そう思い最後の手段で狭い床下の中で身体を方向転換させます。つまり入る時と同じ向きで今度は足から進みます.

な、なんと、奇跡的に人通口を突破することが出来ました。もちろん腰の至るところを傷付けながら・・・(^^;。
 やれやれですね。床下から無事生還出来た晩のビールもこれまた美味いです(^_-)。

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日々の業務スペシャルヴァージョン

日々の業務スペシャルヴァージョン【一服の清涼剤】(特別編)

・【一服の清涼剤】
・2008.06.01 Sunday

 好評につき・・・というわけではないですが、《日々の業務》スペシャルヴァージョン第二弾です。
 今回のテーマは休憩について・・・!

「サラリーマンに較べて職人さんって自由でいいわね~」なんて声をたまに耳にするが、実際はそうでもない。
 職人たちは、割合律儀に決められたタイムスケジュールの中で行動しているものだ。例えば朝の始業時間は8時厳守(現場の状況にもよりますが・・・)! ちょいと10時に一服し、サクッと12時に昼食を食べ、またまた3時に一服する。終業はだいたい夜の6時(工期が迫り怒涛の追い込みの場合は残業あり!)と。
 とまぁ、おおよそ2時間ごとに休憩をはさんで一日の業務をこなしている。云ってみればこれが一種の仕事のリズムみたいなもので、これが崩れると全体の工程も狂ってくる。この業界には《工期厳守!!》という【鉄の掟】があり、これを破るととんでもないことになる(どうとんでもないことになるかと云うと・・・お、怖ろしくて云えません!)。
 それゆえ職人たちは、決められた工程に基づいてキッチリと仕事をこなさなければならない。そうするためにも1日の時間感覚を、規則正しい生活によって養っていかなくてはならないのだ。例えて云うならば、ボクサーが1ラウンド3分間を、スパーリングや日々の練習の中で体に覚えこませるようなものだ。職人も同様にほぼ2時間ごとのタイムスパンでどこまで仕事を進めて、どのように納めるかを日々の生活の中で実践しているというわけだ。
 この2時間という時間がポイントで、人間の集中力の持続時間はだいたいこのあたりの時間が限界みたいだ。勉強や車の運転でもそれを過ぎると注意力が散漫になり、思わぬミスや事故に繋がりかねない。職人の世界も同じで、この集中力を一定の間キープさせるために、10時・3時に《一服する》という行為が存在するのかもしれない。たぶん・・・。
 では、《一服》とは何か? まぁ簡単に云うとちょっとした小休止、休憩タイムのこと。職人世界の間では太古の昔より延々と執り行われている慣習で、朝の10時、昼の3時あたりにとるのが通例だ。時間はおおよそ20分~30分。
 その中でみんな何をしているのかと云うと、それはホント人それぞれだ。缶コーヒーやお茶を飲む者、煙草をくゆらせる者、ひたすら携帯にメールを打ちまくる者、一人たそがれ遠くの空を見つめる者、はたまた休まずひたすら働く者とか(まぁ滅多にいないけど・・・)。本当にさまざまである。
 まぁそれでもたいていの場合、多くの者がすることといえば仕事の打ち合わせだ。どういう段取りでどのように納めるかとか、難しい細工の検討をしたりとか、おおむねそのような話で時間が過ぎる。《一服》時のリラックスモードだと、思わぬいいアイデアがでたり、その現場に携わる業者間同士の連携もスムーズにいったりして。たぶん・・・。
 傍から聞いていると、専門用語のオンパレードなので何を話しているのか分からないかもしれない。例えば「いんにっさんで野縁組んで・・・」なんて聞いても、なんのこっちゃとういう感じだ! (ちなみに、これは天井の下地組みのこと)
 もちろん仕事の話だけでなく、くだらない世間話や仲間の噂話、彼女や自分たちの子供の話など缶コーヒー片手にお喋りして気分転換を図ることも多い。そこで心も体もリフレッシュして次の仕事にあたるわけだ。
 また我々の仕事はお客さまが住みながらの増改築(リフォーム)工事も多いのだが、その時などはお客さまが10時や3時にお茶を出してくれるケースが多々ある。まったくもって有難いことである。そんなに気を使わなくてもいいのだが、出されるとやはり嬉しいものである。なかには、自分で焼いたクッキーなどを振舞ってくれるナイスなお客さまもおられるので、こちらも何か(ささやかではあるが)サービスしたくなるものだ。
 まぁどの仕事もそうだと思うのだが、機械ではなく生身の人間がやることなのだから、たまの息抜きも必要だよね!(息抜きばかりでも困るけど・・・)

***ところで、休みの日も10時、3時に一服したくなるのは私だけ・・・!?

 

★★★『あとがき的追記』★★★

10時、3時の一服というのは今でもしっかり存在します(^_-)。
ただし、当時に比べ一服時の喫煙率というのはだいぶ低くなっているような気がします。そもそも今は現場敷地内全面禁煙なので・・・(^^。タバコを吸いたい人たちは別の場所へと言うことになります。

この当時、人間の集中力は2時間が限度などと書いていましたが、年を重ねるにつれ1時間が限度になってしまいました・・・(^^;)
人生とはそういうものです(笑)。

それにしてもこの業界、【鉄の掟】(笑)がやたらと多くないですか・・・!?

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