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建築用語マニアック辞典さ行編(特別編)
- 2013.05.04 Saturday
【猿】・・・モンキーにあらず(笑)。木製の雨戸に閂(かんぬき)状に取り付ける木製のロック機能の呼称。なぜ猿なのかは不明。モン・キー(鍵)だから・・・(笑)?
【地獄ホゾ】・・・土台もしくは横架材と柱を緊結するための仕口の一種。
柱のホゾ部分に縦の割れ目が入った柱を、土台もしくは横架材のホゾ穴の中で楔状に加工されたホゾ穴に差し入れる事によって、柱ホゾがホゾ穴の中で扇状(逆楔状)に開き絶対に抜けなくなるという恐ろしい仕口!
途中で後戻りの効かない一発勝負のリスクの高い仕口。接合金物の進化した現代ではあまり使用されることはない。
※ちなみに【極楽ホゾ】という仕口はない(笑)!
【過ぎ山】・・・建築職人がある基準ラインを越えた時に発する言葉。もちろん日本地図のどこを探してもこの名の山はない(笑)。
※用例 建て方時、柱の垂直を決める際、垂直ラインを少し超えてしまった場合に「ちょい過ぎ山!」。
【背割れ】・・・柱の4面のうち1面だけに柱芯まで柱の上から下までの縦方向にノコ目を入れ、他の3面にひび割れや歪みを生じさせない加工の一種。
主に桧の化粧柱や丸太化粧柱にこの処理が施される。
背割れ面には自己犠牲の精神が宿り、この面を無闇やたらと粗末に扱ってはいけない(笑)。この面に対峙する際はしばし黙祷を捧げたのち作業にあたるべし(笑)。
【ゾーニング】・・・建築プランニングにおける作業工程の一種。建物全体を生活動線やライフスタイルにあわせ適切な空間に区切っていく作業。
※類義語 【間取り決め】。もちろん象は関係なし(笑)。
★★★【あとがき的追記】★★★
さ行変格活用『せ、し、す、する、すれ、せよ』・・・というわけではありませんが(笑)さ行変格番外編です!
【猿】のように動物の名前が付いた用語というものは、建築用語では割と多く見受けられます。
例えば【犬走り(いぬばしり)】…ドッグランに非ず。いや、もちろんワンちゃんも走ってOK(笑)! 建物基礎部外周面をコンクリート土間で固めた部分。
犬とくれば猫(^_-)!
というわけでこちらは【キャットウォーク】…吹き抜け上部などに設けられた狭い格子状通路の呼称。もちろんニャンコちゃんが歩いてもOK(笑)。
あとは【ゾーニング】…だから・・・しつこいようですが、象とは関係ありません(笑)。
それにしても、犬は走って猫はウォーキングなのですね(笑)。「雪やこんこん・・・♪」という歌を思い出すのは私だけ?・・・(^^;)。
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建築用語マニアック辞典か行編(特別編)
- 2013.05.03 Friday
【軽子(かるこ)】・・・女性の名前ではない(笑)。墨壷や水糸の糸の先端部にある針の付いた瓢箪型のモノ。これを材料に差し糸の起点とする。
※用例「最近軽子(カルコ)の調子がイマイチなんだよね~」こんな事を奥様の前で呟くとあらぬ誤解を招く恐れがあるので、この言葉、使用上の注意が必要(^_^;)。
【木殺し】・・・木材の小口切断面を玄能(ハンマー)などで叩き湿気などによる木材の膨張を抑える技(わざ)の一種。
ただし、中途半端に叩くとその後蘇ってくる場合もあるので作業にあたる際はゴルゴ13並みの気構えでのぞむべし(笑)!
【グルニエ】・・・小屋裏に設けられた固定式の階段の付かない部屋の総称。元はフランス語。
※同義語・・・小屋裏収納、ロフト。
※用例 工務店との打ち合わせの際「我が家のグルニエにはこんな照明器具を使いたいんですよ」などと言えば、この御方只者ではない! と思わせる効果あり(笑)。
【源造(げんぞう)】・・・男性の名前ではない(笑)。和室などの内法材を取り付ける際に用いられる技(わざ)の一種。化粧柱間に材料を取り付ける際に、なんの細工もせずズバッと切って納める技法。ある意味潔い技ではあるが、柱に捻れがあったり材料が乾燥していないと木材の小口が透いて見えるため、技としてはリスクが高く上級者向けの技(わざ)の一つ。
※余談 その昔、大木源造(通称ゲンさん)という大工がこの技を得意としており、事ある如くこの技を使用し、廻りの者を唸らせていたとか・・・ただし、真偽のほどは定かではない(笑)。
【勾 股 弦(こうこげん)】・・・大工による差し金(さしがね)を使った規矩術で直角三角形の一つ一つの辺の呼称。なにやら中国っぽい響きを匂わせる言葉の通り、古来中国より伝わりし高等数学の一つ。三平方の定理を含め複雑な屋根の納まりを導き出せる優れモノの記号の一種。
建築業界でも大工以外にはあまり知られていないという秘伝中の秘伝。究極の奥義ような代物。
※用例「・・・・・」秘伝中の秘伝のため掲載不可(難解なため掲載しないという噂も・・・)(~。~;)?。
★★★【あとがき的追記】★★★
【木殺し】…とはホント、物騒な言葉ですね(^^;)。
文中でも記されている通り、中途半端な打撃では木は死にません!
タフなんです(笑)。
【木蘇生】…そんな言葉はありません(笑)。が、しかし、多少の引っ込み傷ならば材木は甦ります!
傷口に魔法の水をかけるだけ・・・いや、ただの水道水でOKです(^^;)!
木は水分を含むと膨張するという性質があります。
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建築用語マニアック辞典 あ行編(特別編)
- 2013.05.02 Thursday
我々建築業界に携わる者が、普段仕事の中で使う用語には一般の方々にはあまり馴染みのない用語が多々あります。
ということで今回、辞典と言うのもおこがましいのですが「こんな言葉もありますよ~」的なものをいくつかピックアップしてみました!
ただし、ちょっとマニアックです(笑)!
それを知ってるから何なの? と言われるとただハハハ・・・と笑うしかないのですが・・・(^_^;)。
まぁこれをきっかけに建築に少しでも興味を抱いていただければ幸いなのですが・・・!
とりあえずあまり為にならないということだけは最初にお断りしておきます(笑)。
それでは一般の方々だけでなく業界人にもほんのちょっと役に立つ(笑)[建築用語マニアック辞典]のスタートです!
【蟻(あり)】・・・小さな黒い虫・・・ではなく(笑)、建築で言うところの【蟻】は木材同士を接合させる仕口の一種!
接合部の形状が蟻の頭に似た逆三角形になっていることからこう呼ばれている。
※用例「そこは蟻で仕掛けとけ・・・」
類義語としては【蟻継ぎ】。
【行って来い】・・・内法材などを取り付ける際に大工が使う技(わざ)の一種。これは呼んで字の如く、柱間に材料を取り付ける際に片側の柱側面に深い穴を掘り、対になる反対側の柱側面を浅く掘っておいて深い方の穴に差してから浅い方の穴に戻すという技法。
経験未熟の者がやった場合、行ったきり戻って来ないケースなどもある(笑)。
【馬】・・・建築現場で作業をする際に用いられる作業台。角材でガッチリ固定されたモノやベニヤなどで簡易に組み立てられるモノがある。
自分オリジナルの馬を[ディープインパクト]とか[オルフェーヴル]などと勝手に命名する輩もいないではない。
・・・コラーッ、馬違いでしょう(笑)!
【エプロン】・・・もちろん台所などで着用するあれではない(笑)。浴槽(特にユニットバス)の洗い場側に面する立ち上がり部分を差す呼称。たいていの場合、脱着可能。
※用例「エプロン外して配管結んどけ・・・」。その際いきなり花柄の前掛けなどを脱ぎ出したりしてはいけない(笑)!
【男にする】・・・主に建て方などの時に、平積みされた大きな梁材を本来構造材として掛かる向きに起こすことをこう言う。平に寝ている材料を90度回転させて重機で吊り易くするために行う作業。
では、平に寝ている梁材が女性なのかどうかは定かではない(笑)!
★★★【あとがき的追記】★★★
「辞典というのもおこがましいですが・・・」等と書いてありますが、内容につきましてはホント、おこがましいですね(笑)m(__)m。
【馬】などは時代を感じます。今で言えば『アーモンドアイ』とか『コントレイル』なんて名付けているのでしょうか?・・・(^^;)。
建築用語のマニアックな語彙というものはまだまだあるのですが、ここで書いていたら本編になってしまうので(笑)、またいつの日か【改訂版 建築用語マニアック辞典】でお会いできたらいいですね!
でもちょっとだけ書かせて下さい(笑)!
【相番(あいばん)】…違う職種の者が同じ工事箇所で同時に作業すること。
仲の悪い者同士がこれをやると本人たちより周りがピリピリしてしまうというリスクを孕んだ微妙な作業(^^;)
【アース】…太陽系第三惑星・・・のことではない(笑)。レンジや洗濯機用のコンセントプレートに付いている過大電流を遮断し地中へ流す回路。世界中のアースから地中に流した電気で地球が回っているという都市伝説的噂もあるが(ないないっ・・・笑)、信じるか信じないかはあなた次第(笑)!
・・・切りがないのでこの辺で止めておきます・・・(^^;)。
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日々の業務スペシャルヴァージョン【建築における【図面】の役割と効用についての一考察】(特別編)
- 2012・08.15 Wednesday
子供の頃、夏休みのお盆を過ぎたあたりからどんよりと頭の片隅に居座り続ける【夏休みの宿題】という暗雲。何でもっと早くやっておかなかったのかな~と毎年のように思うやるせない後悔の念‥(^_^;)。
という訳で(若き日のリベンジです)夏休み特別レポート。半期に一度の(笑)【日々の業務】スペシャルバーゲン‥いやスペシャルバージョンの復活です!
今回は我々建築に携わる者にとってとても大切な【図面】についてです!
まぁ毎度のことではありますが今回も軽~く読み飛ばして下さいね(^_-)!
家を建てるに当たって何が必要かと言えば‥先ずは《お金》‥ハハハ、もちろんそれはそうなのですが《お金》があっても建物の設計図が無ければどんな家を建てていいか誰も分かりません(^^;)。
自分のイメージした家を作るには何はなくとも【図面】が必要なのです!
全てはそこから生み出されます。
では【図面】と言ってもどんな図面が必要なのか?
一番分かり易くなんとな~くイメージしやすいのが部屋の間取りを配置した《平面図》です!
よく日曜日の新聞広告(建売り住宅などの)でチラリとお目にかかりますよね(笑)。あれです!
弊社は殆どが注文住宅なのでその土地の形状、お客様のライフスタイルに合わせて間取りを配置していきます。
《平面図》とは簡単にいうと建物を上から見た図面です! とりあえずは思いっきり上から目線で眺めましょう(笑)。
この《平面図》というものにはかなりの量の情報が盛り込まれています。
部屋の間取りはもちろんですがその他にも部屋の大きさを明記した寸法、窓の位置や窓の大きさ(サッシ記号【AW】で表記)、内装建具【WD】の位置(建具がどちらの方向に開くかなども分かります)、さらに照明器具の場所や種類、カウンターや家具、家電製品の配置などなど。
細かいことを言えば階段の段数まで分かります!
「素読」などという言葉もありますが我々プロはくどいほど平面図を上から目線で(笑)日々睨んでいると大まかな完成型をイメージすることが出来ます!
とは言うものの、もちろん《平面図》だけでは家は完成しません。
建築図面にはその他にも《配置図》、《仕上表》、《断面図》、《立面図》、《矩計図(かなばかりず)》、《展開図》などがあります。
この他にも詳細なパーツ図面もありますが大まかにこれらの図面だけは最低限必要です!
《配置図》とは土地と建物の位置関係及び地盤の総体の高さ関係を記した図面です。
《仕上表》は建物の仕様を明記した図面です。通常《仕上表》には外部と内部の仕様が表記されています。例えば屋根はガルバで外壁はスイス漆喰であるとか、1Fリビングの床は桧フローリングでトイレの壁は珪藻土だとか‥。
《断面図》とは、強引な例えで申し訳ないのですが建物をウエディングケーキ入刀の要領で見えないナイフでスパッと真っ二つに割った時に見えるであろう図面です。なんとな~くイメージ出来ます(笑)?
この図面で主に高さ関係が分かります!
似たような図面で《矩計図(かなばかりず》というものがありますが、これは高さ関係及び壁の厚みなどをより詳細に記した図面です。細かな数字と文字がいっぱいの老眼の方(筆者も含めて‥)には誠に泣かせる図面ではあります(^_^;)。
《立面図》とは建物の外観を東西南北各一方向から見た時の図面です!
建物の形状がよく分かります!
屋根形状や窓の大きさや高さなどがイメージ出来、建物のより詳細なプランニングなどに役立ちます!
《展開図》とは前述した《断面図》を一つの部屋に対していろいろな方向から切り取ったような図面です!
しつこいようですが、例えるならばウエディングケーキ入刀後に列席者全員分のケーキを切り分けてるようなものです(笑)。
【図面】とはあくまでも二次元的なものなのでそこに存在するであろう奥行き的なものがイマイチ判然としません。
そこで一つの部屋を東西南北四方向からそれぞれ切り取った家の断面である展開図を組み合わせることによっていろいろなものの奥行きが判明します!
《展開図》におけるイメージによる3D化は慣れていないと最初のうちは戸惑うかもしれません。
こればかりは特殊な眼鏡を使っても立体化してくれませんので‥(^_^;)。
という訳で建築における【図面】とは、二次元の紙の上から三次元の現実空間に建築物を生み出させる誠に重宝な代物ということです《さんざん書いておいてなんというか小学生の作文的な結論ですね‥(^-^;)》。
とにかくしっかりとした【図面】があれば家は9割方出来たも同然です。‥まぁこれはあくまでも頭の中のイメージではありますが‥(笑)!
哲学的に言わせてもらえれば、
「答は全てそこにある」
です!
なんだか名探偵の決めゼリフみたいですね(笑)!?
さぁ全国の学生諸君、夏休みも残りあとわずか!
迫り来る工期を前にした現場監督の心境でしょうが(笑)、怒涛のラストスパートで頑張ろう!!
では健闘を祈る(^_^)/~。
★★★【あとがき的追記】★★★
いや~たまには為になる事を書いていますね(笑)! 文章は相変わらずひどいですが・・・m(__)m。。
「答えは全てそこにある」・・・カッコいいフレーズですが日常生活ではほぼ言わないであろう言葉ですね(^^;)! しつこいようですが、やはり図面は上から目線が1番(笑)!
何気に読んでいて気付いたのですが、私8年も前から老眼だったのですね・・・どうでもいい話ですが(^^;)。
『日々の業務スペシャルヴァージョン』はこれ以降アップされていないのは少し寂しいような気がします。忘れられるはずですね・・・(笑)。10年に一度の・・・ということで再開出来れば良いですね(^_-)!
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日々の業務スペシャルヴァージョン【君は『いろはにほへと…』を最後まで言えるか!?】(特別編)
- 2012・01.03 Tuesday
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます<m(_ _)m>!
通常ブログはお正月休みと言うことで今回は新春特別企画。《日々の業務スペシャルヴァージョン》の復活です!
復活? そんな企画ありましたっけ? はい、あったんです!
まぁ~本人も忘れていましたが・・・(笑)!
気になる方は過去のブログ(日々の業務)を検索してみてください!
と言うこととで今回のテーマは【業界用語】です!
我々の身を置く建築業界では普段の生活ではあまり使用しない用語や単語を使用するケースが多々あります!
例えば「矩(かね)を巻く」。これはどういうことかと言うと、《さしがね》と呼ばれるL型の定規で材料に対しての直角墨を出すことをこのように言ってます!
さらに、「窓マグサの陸(ろく)を確認して・・・」とか。
この《窓マグサ》とは窓台下地のことで、《陸(ろく)》とは水平を意味してます。
他には「インニッサンで天井の野縁(のぶち)を組んで・・・」なんて言葉。野縁とは天井材を貼るための下地組みのことです。スタッフブログにはよく出て来ますね(^_-)!
【インニッサン】とは材料の名称で、30×40サイズのおもに下地材として使われることの多い材木です。
ではなぜこの30ミリ×40ミリの材料のことを【インニッサン】と言うのか!?
実はこれ尺貫法表記の名残によるものです。
本来この手の下地材は1寸2分(いっすんにぶ※約36ミリ)×1寸3分(いっすんさんぶ※約40ミリ)の大きさの材料でした。
1寸2分で【インニッ】1寸3分で【サン】。で【インニッサン】です!
ちなみに1寸が約30ミリ、一分が約3ミリです!
現在のメートル法に換算し、切りのいい数字に置き換えたのが【インニッサン】すなわち30×40と言うわけです。
木造建築では現在(いま)に至るもこの「尺貫法」がまかり通っております・・・(^^;)。
1尺が303ミリ。1寸や1分は前述した通りです。さらに《厘》と言うのがあり1厘で0.3ミリになります。その下には《毛(もう)》なんていうのもありますが(0,03ミリ)、殆ど見えません(笑)。
さらに1間(いっけん)と呼ばれると6尺、つまり約1800ミリ。よく1間間口などと言われたりしますよね。
尺寸法でよく我々が使用する言葉で《3×6(さぶろく)》と言う言葉があります。
これは石膏ボードや合板の規格寸法が910ミリ×1820ミリ(3尺×6尺)で作られているためです!
他にも「この内法材(障子などの鴨居、敷居)ヨンブシチで溝ついて・・・」など。
この「ヨンブシチ」とは7分(しちぶ※21ミリ)の溝が2本、4分(よんぶ※12ミリ)の隙間をあけてついてある状態のことを表します。
これはどういうことかと言えば、障子の場合厚みはたいてい30ミリです。21ミリの溝面に障子を納め、障子同士が3ミリの隙間があくような状態を作るわけです。
ちょっと説明が分かりづらいですがそういうことです(^^;)・・・家に障子のある方は見てみて下さい!(笑)。
尺だとか寸だとか言う言葉を一般の方はあまり使いませんよね。
例えば『一寸の虫にも五分の魂』なんて諺もあるにはありますが、これって3センチの虫にも15ミリの魂ってことですかね(笑)。
で、3センチの虫ってまさかゴキ・・・ウギャ~ヽ(≧▽≦)/。
さて、木造在来工法というのは歴史がなにしろ古いです!
千年という時を経て未だに受け継がれている技法があります。
木材同士を接続させる『継ぎ手』及び『仕口』なる技法がそれです。
現在のプレカットという機械加工においてもこの技法は取り入れられています!
『腰掛け蟻継(ありつぎ)』、『腰掛け鎌継(かまつぎ)』などがその代表的な例です。
その他に特殊継ぎ手として『追掛け大栓継(おっかけだいせんつぎ)』、『金輪継(かなわつぎ)』、『台持ち継』、『車知(しゃち)継』などなど。
このへんになってくると技法というより殆ど秘法に近いです(笑)(^^;)。
この『継ぎ手』たち、知識としては分かっていてもなかなか実践で活用する機会がないのも事実です。とにかくやたらと手間と精度が要求される技なので・・・。
もちろん『蟻継』、『鎌継』以外は複雑過ぎて工場加工が出来ません!
やるとなればひたすら手加工です・・・(^^;)。
変わったところでは、一度入ったら絶対に抜けない『地獄ホゾ』と呼ばれる世にも怖ろしいネーミングの仕口などもあります(笑)!
『継ぎ手』、『仕口』などの名称は構造体を加工する際に頻出する用語ですが、それらを加工するための設計図面も木造建築の場合、ちょっと特殊な用語が出て来ます。
その最たるモノがタイトルにもなっている『いろはにほへと・・・』です!
『いろはにほへと・・・』と言えば今の季節柄カルタを思い浮かべますが、最近はあまり聞きませんよね。「犬も歩けば・・・」というやつです!
で、木造建築の場合、図面がカルタになっているわけではなく(そりゃそうだ)、《番付》と呼ばれる座標軸に『いろはにほへと・・・』が用いられています。
もちろん図面上に〔横綱〕とか〔大関〕などと記されているわけではありませんよ(笑)!
大抵の場合X軸方向(縦方向)には数字の「一、二、三・・・」が、Y軸方向(横方向)には「いろはにほへと・・・」が3尺(910㎜)ピッチで記されています。
と言う訳で図面上のグリッドの一番右上のポイントが「いの一番」となります!
その下(3尺下がって)が「いの二番」となり「いの一番」に対して(3尺)左隣が「ろの一番」となります。
そして「い」の縦列を「い通り」と呼びます。
この《番付》に基づいて我々大工は細かく刻まれた材料を一本一本組み上げていくのです!
《番付》も「いろはにほへとちりぬるを」あたりまではまだ良いのですが、これが「わかよたれそ・・・」あたりになって来るとどっちが先だっけ? なんて現象が起こったりします(笑)・・・(^^;)。
なにしろ我々大工も普段はあまり使わない言葉ではあるし、『そ通り』あたりまで来る建物となると80坪クラスの大きさなわけですから、滅多にはお目にかかれません!
こうなると図面と睨めっこ状態です(笑)。
やはり木造建築に携わる者の心得として普段より、中学生が英単語を暗記するが如く一字一句覚えておかなくてはいけませんね(~_~;)。
ちなみに《番付》はあくまでも平面的なものなので木造2階建ての場合、土台から始まり、2階床、2階小屋、モヤ(垂木を受ける横架材です)と4層に渡って同じ番付が存在するわけです。
それぞれがどこの階層のものか明記しておかないととても厄介なこととなります。
イッツ・ア・パニックワールドです(笑)!!
さらに厄介なことには『い通り』と『ろ通り』の間に柱などが存在した場合『又ろ通り』なる通りが出現するわけです。
やれやれですね(^^;)。
とは言うものの、案外慣れれてしまえば割と苦にならないものです!
まぁどうでも良いことなのですが、個人的には2階《にの二番》という番付が好きです!
ホントどうでも良いことですね・・・(笑)!
ということで、建築用語で分からないことがあればお気軽に弊社斉藤工務店にご相談下さい!
「私も《にの二番》がどうしても気になって・・・」という方だけは私が個人的にご相談をお受け致します・・・(笑)!!
さて、今年は本ブログ内にてちょっとした新シリーズを企画、準備中なので、そちらのほうもどうかお楽しみに☆
それでは本年も引き続きよろしくお願い申し上げます
m(_ _)m
最後に気になる!?「いろはにほへと・・・」の全文を掲載致しますので、興味のある方は是非覚えてみては如何かと・・・(笑)!
「いろはにほへと
ちりぬるを
わかよたれそ
つねならむ
うゐのおくやま
けふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせす」
さぁ、大工諸君!!
ここ、次の期末試験に出るからよ~く覚えておくように・・・(笑)♪
「え゛~っ」 (゜o゜; !
★★★『あとがき的追記』★★★
正月早々なんだかな~という感じですね(笑)。
『いろはにほへと・・・』ですが、8年経った今でも木造の構造体にはしっかりと刻み込まれています! そりゃあそうですね。千年以上変わらなかったモノがここ7、8年で急に変わられてもね・・・(^^;)。
建築業界用語も訳の分からない言葉が多くて困ります(笑)。
それでも詳しく知りたい! という奇特な方はこの先アップ予定の『建築用語マニアック辞典』(特別編)をご参照くださいm(__)m。
ところで、今でも【2F にの二番】が歯の隙間に魚の小骨が挟まったように気になる方(笑)、相談受付継続中です(^_-)!